大したことのない話

脳みそに詰まったゴミを吐き出しておく場所

カタシロめいたTPRGリプレイ IN_CA■E 【7】3日目 ①

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■登場人物
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―――目覚ましジャンケンジャンケンジャンケンジャンケンジャンケン・・・

うるせぇ、うるせぇ、うるせぇってんだよこの!
起き上がると同時に、永遠に「ポン」の来ないジャンケンは鳴りを潜めた。
シャンクス、ありがとうございます。

当たり前だがリスポーン地点は昨日と同じ部屋、同じNot柔らか布団だ。
そして、いつもと同じ椅子にカタシロは座っていた。

カ:おはよう
純:おはようございます
カ:最後の検査も、今まで通り問題なく終わると期待しているよ
  それが終われば、晴れて、今日で退院だ
純:へぇ、ありがとうございます
カ:それじゃあ早速始めようか
純:その前に、昨日何かあったんですよね?
カ:何か?いいや、何も
純:なんかこう、ジョコモの部屋で放送が流れて
カ:ああ、あれは、避難訓練の音だよ

カタシロの仮面には、いつの間にか🙄と表示されている。
しらばっくれるつもりなのか?
それならその考えが顔に表示される仕組みはあまりに不利すぎん?

純:公園が何とかって流れてましたよね

カタシロは俺の顔を見て、ごまかすのを諦めたらしい。
肩をすくめて、両手の平をこちらに見せるように広げて見せた。

カ:あれは、ジョコモへの判決を取り消せって言う、デモみたいなものでね
  彼らは主張を通すために過激な方法、いわゆるサイバーテロを行ったんだ
純:なんだか物騒で。そのうち乗り込んでくるんじゃあ?
カ:だとしても今日で退院の君には関係ない、だから気にしないでくれ

まるでリストラを隠す親のような口ぶりで、カタシロは強制的に会話を終わらせた。
俺も突き放されたような態度に、それ以上は何も言えなくなってしまった。

カ:そろそろ始めようか

カタシロは、床に置いてあった、各辺30cmほどの白い2つの箱を拾い上げ、片方を俺に渡した。
開け閉めが可能な小さな窓がついており、そこから中身を覗くことができるようになっていた。

カ:君は君の箱の中身を見て、確認してくれ
  ちなみに、お互いの箱の中身を見せ合うことはできないし
  箱に手を突っ込む、空気を流し込む、箱を傾けるなどもNGだ

カタシロは箱の小窓を開け中身を見ると、仮面に😏と表示した。
俺も合わせて中身を見ると、そこにはオスのカブトムシが入っていた。

赤茶けた甲殻を携え、ノソノソ動く一本角の昆虫、日本の少年たちの間では往年の夏の大スターだ。
とりわけ大きいわけでもないが、テンション上がるなぁ~

カ:君には、お互いの箱の中身が一緒か、それとも違うかを宣言してほしいんだ
  君は宣言までなら何度でも、私に箱の中身についてどんな質問もしていい
  そして、私は決して嘘はつかない
  ただし、箱の中身が同じかを判定するのは、私だ
  そして、宣言が判定と合うかは特に問題じゃないから、そこは安心してほしい
純:なるほど、すごいシンプルだが、箱の中身はころころ変わるんすか?

カ:『シュレーディンガーの猫箱』か。それは知っているんだね

三者によて箱が開けられて中身が確認されるまで、その実体は確定しないという量子力学か何かの定理だったはずだ。
仮にそうなら、こんなクソゲーはない。

カ:安心してくれ。答え合わせするまで、箱の中身は変わることはないよ
純:答え合わせしたら、か
カ:そういうこと。合わせてゲームは3回、早速やってみようか

●ゲーム1

俺は手元の箱の中身をもう一度確認する。
中身は先ほどと変わらないカブトムシだ。

純:あんたの箱の中身は、カブトムシか?
カ:カブトムシだ
純:じゃあ、箱の中身は同じだ
カ:それじゃあ開けてみようか

カタシロがそう言いタブレットを操作すると、テレビに二つの画像が表示された。
片方は俺の箱の中にいる角の立派なカブトムシ。
もう片方はカタシロの箱の中身。
そこにいたのは、どこか緑がかった光沢の、角のない大きな甲虫だった。

カ:見た目からして違うねぇ、残念だ
純:いやいや、あんたのそれのどこがカブトムシなんだよ!
純:どう見てもフンコロガシだろ!納得いくか!
  やだな、これは、アトラスオオカブトのメスだよ
  だからカブトムシかと言われれば、カブトムシだ
  君のは日本のカブトムシだね
純:じゃあ同じじゃねーか!

カタシロは仮面に意地の悪そうな😜を表示する。

カ:日本のカブトとアトラスオオカブトのメスじゃ市場価格は全然違うんだ
  そもそも生き物としての種目も性別も違うじゃないか
純:そうか、そういうことかい・・・
カ:納得できたかな。次いってみよう

判定はカタシロが行う、その時点で理不尽案ゲームじゃね、これ?

●ゲーム2

俺の箱の中身は、さっきのとは別のカブトムシだ。
角が3本あるし、金属的光沢は緑がかった色をしている。
そして、尻から角の先までの体長は10cmほどと随分大きく、じっと動かない。

純:箱の中身は、カブトムシか?
カ:カブトムシだ
純:そっちの箱の中身は、角は3本あるやつ?
カ:そうだね、角が3本ある
純:ちゃんと、甲虫なんだよな?
カ:6本足で光沢もあるよ
純:光沢の色は?
カ:黒色にグリーンの差し色だ
純:体の大きさは10cmくらい?尻から真ん中の角の先の長さですからね
カ:うん、丁度そんな感じだね

特徴は合致する。今度こそ同じカブトムシだ。

純:同じカブトムシだ。間違いない
カ:見てみようか

テレビに表示されたのは、全く同じ種類、全く同じ大きさの3本角のカブトムシ。

純:これは文句のつけようもなく同じだろ
カ:うん、見た目は同じだね

カタシロが箱のふたを小さく開けると、元気よくカブトムシが飛び立って、また元の箱に戻っていった。
画面の中に映るカタシロのカブトムシは、未だにもぞもぞと動いている。

カ:君も、箱をさかさまにしてくれないかな

俺は蓋をしたまま、くるりと箱をひっくり返す。
テレビに映る俺のカブトムシは、180度ひっくり返ったにも関わらず落ちるどころか微動だにしていない。

カ:君の箱の中にあるのは、私のと同じコーカサスオオカブトムシだけれども
  私の生きているカブトとは違う、箱の床に固定してあるはく製だね
純:うっわ、最低。こんなん騙し討ちじゃん
カ:種目としてもは同じだし、大きさも一致している
  けど、こっちのカブトムシは生きてて、君のは死んでる
  流石に同じとは言えないかな

●ゲーム3

箱の中身は、またもカブトムシ。
光沢に青みを帯びた、一本角のカブトムシだ。
先ほどのなんたらオオカブトと大きさもほとんど変わらないから、体長は10cm級と見てよさそうだ。
もぞもぞと動き、箱の床には「この子はトーマス」と子供の文字の書かれた紙が貼り付けてある。

カ:最後のゲームは最初に私から説明しよう
 私の箱の中身は、一本角のカブトムシがいる
  少し青みを帯びた光沢をしていて、角の先は二股に分かれている
  元気に動いているから、間違いなく生きた本物だとわかる
  大きさはおそらく10cmほどで、名前はトーマス。そう名札が書かれている

外見的特徴は全く同じだが、流石に俺も学習した。
そもそも、この世界に同じカブトムシが同時に二か所に存在するわけがない。
それこそクローンか、スワンプマンかだとしても、別個体なのは間違いないんだ
そう、最初から俺たちのカブトムシは箱が分かれている以上、「別物」なんだ。

純:茶番だ、箱の中身は違う。同じ物体は同時に存在できないからな
カ:潔いね。結果を見てみよう

テレビに映し出されたのは、見た目は全く同じカブトムシ。


純:それで?これはクローンか?
カ:同じカブトムシだよ。完全に一致した、同一のカブトムシだ
純:はぁ?

片方のカブトムシが角を上げると、もう片方のカブトムシも角を上げる。
完全に同時、完全に同じ動きだ。

カ:この子はトーマス。私の息子が飼っている、世界に一匹しかいないカブトムシだ
  お互いの箱に写されているのは、定点カメラで観察しているトーマスの映像
  いわゆる、立体映像ってやつでね
純:な、な、な!

カタシロの顔にはやはり😜と表示される。
・・・一本取られてしまった。


カ:うん、検査は以上だ。お疲れ様
純:なんだか、日ごろ使わない頭の部分を使ったせいか、ひどく疲れましたよ
カ:ああ、それも必要な刺激さ。やっと、君に役割を果たしてもらえる

・・・役割?
仮面に😜と表示されたカタシロは、そのまま画面に向けてタブレットを操作する。

一方の俺は、ベッドに腰掛けて画面を向いたままの姿勢から、身動き一つ取れないでいる。
昨日と違うのは、表示された文字列のせいか脳の奥の方がチリチリして、自然と目を背けようとできなくなっていた、と言う点だった。

俺は、最初っから酷く嫌な予感はしていたのだ。
それがまさか現実になるとは、露とも思わなかったわけじゃない。
どこかで夢物語だと、妄想だと、目をそらしていたのだ。

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