大したことのない話

脳みそに詰まったゴミを吐き出しておく場所

カタシロめいたTPRGリプレイ IN_CA■E 【1】1日目 ①

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―――目覚ましジャンケン、ジャンケンポン、俺はパーを出したぞ
―――目覚ましジャンケン、ジャンケンポン、俺はパーを出したぞ

 

?:うぉ、やべぇ!

 

聞きなれた無機質な機械音のせいで俺は、跳び起きた。
この赤髪の海賊の景気の良い声で作られたアラーム音は、昼の講義に遅刻する直前に鳴るように俺がスマートフォンに設定していたものだ。
余りに勢いよく上半身を起こしたせいで、腰が痛い。

 

?:・・・ん?あれ?

 

いつもなら真っ先に微笑みかけてくれる俺の、俺だけの箱入り娘こと、1/144ノーベルガンダムたそがいないではないか!
そして気付く。
清潔感にあふれ、黒く無機質な壁に囲まれ、ベッドには一枚の掛け布団もない。
手の届かない高さの場所にある蛍光灯から、白い光が降っている。

ここは、どこだ?

そして俺の服はガンダムファイターよろしく、ピッチピチのタイツ状の何かになっているではないか。
肩にアンテナが着いてないので、少なくともガンダムファイトさせられることはなさそうだが。

尻を触り気付く。
・・・おいおいおいおい、これはまずいぞ!!!う〇こする穴がない!小もしかりだ!

 

医:おはよう、まずは、元気そうで何よりだ
?:誰ェ・・・?やだ、こわい!やめてください!

Icône médecin Consultation médicale du patient et assistant Avatar ...

 

叫ぶのも無理はないだろ?部屋の隅に、顔のない白衣を着た男が立っていたんだぜ?

よっくよく見れば、のっぺらぼうのようにつるんとした表面の仮面をつけているだけで、お化けや神話生物と言うわけではなさそうだ。

そして驚いたのにはもう一つ理由がある、まるで気配がなかったのだ。
それこそ熟練のアッサシンかってほどに、最初からいたのか疑わしいほどの隠密、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

 

?:・・・あんた誰すか。ここは何処すか
医:その前に、君の名前を教えてくれないか。それと、年齢も
?:はは~ん、さては理系でしょあなた
?:質問に質問で返すとゼロ点だって、授業で教わんなかったんすか~?
医:(ため息をつく)
医:・・・私はカタシロ、医者だ。ここは、病院。君を治すための、ね

 

医→カ

 

カ:私は君の質問に答えたんだ、今度は君の名前と、年齢を聞かせてほしい

 

やっぱ理系だったな。これだから嫌いなんだよ理系は。
病院ってことは俺は病気なのか・・・にしては俺の調子は悪くはない。
調度品を見るにどちらかと言うと高級ホテルって方がしっくりくる部屋だ。

 

?:俺の名前は「邪悪な心を持つ幼き弱き竜・純」です。年齢は21歳、大学生

 

?→純

 

カ:なるほど、21歳。大学の名前は?
純:・・・帝京平成大学、ですけど。なんすか、悪いですか?
カ:いや・・・うん、記憶はそこまで問題なさそうだね。安心したよ

 

カタシロと名乗った医者は納得したように頷き、手に持っていたタブレットに何やら書き込むと、慣れた様子で優雅に椅子に座る。

 

純:病院ってことは俺は病気なんですか?あるいは、怪我?
カ:ああ。乗っている電車の事故に巻き込まれてね、しばらく意識がなかったんだ
カ:体自体は問題ないだろうが、記憶、あるいは人格に影響があるかもしれない
純:「心が二つある」・・・ってコト?!(ちいかわ)
カ:知らぬ間に心に作り出した爆弾を抱えて日常に戻りたくないだろ?
純:・・・そうっすね。それはマジでそう
カ:とはいえ、ほとんどあくまで事務的な手続きと思っていいよ
カ:3日間経過を観察して問題なければ退院してもらう

 

ほっ。ひとまずは安心だ。
俺はキメラになりたくないし、DG細胞に冒されたままウォルターガンダムに乗るのもまっぴらゴメンだ。

 

純:スマホ・・・スマホは?連絡を取りたいんですけど!あと5chも見ないと!
カ:あーあー、すまない、君のスマホも壊れてしまってね
カ:辛うじてアラーム音などは復元できたが、まだ替えは手配していないんだ
純:き、貴様・・・むごたらしく、殺してやる!
カ:・・・そう怒らないでくれ。ご家族や大学には話をつけてあるから
カ:退院したら連絡を取ればいい、そうだろ?

 

舌打ちの一つもしたくなるが、事故から命を拾っただけまだマシか。

 

純:というか、その悪趣味なお面は何なんですか
カ:私も昔、事故で顔にケガをしたんだよ
純:だったら、見せてくださいよ
カ:傷跡はひどくてとても見せられたもんじゃない。と言うか、見せたくないんだ
カ:最初は整形しようとも思ったが、どうにも馴染むと思えなくてね

 

そこまで言うと、ツルリとした仮面に😅と表示される。
これは顔が見えないだけで、思った以上に表情豊かな奴なのかもしれないぞ。
そんなことを考えていた俺をよそに、すらりと伸びた足を組み替えると、カタシロは仮面の表示を🤔に切り替えて話始めた。

 

カ:さて早速、君には検査に付き合ってもらおう
カ:といっても簡単な質問に答えてもらうだけだから身構えないでいいよ
純:そうっすか

 

そんなこんなで、俺のわくわく入院ライフが始まった。
エッチなナースさんがいるといいな、そう思った。

 

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